禁煙にトライしませんか?

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニックです。

 

今日は禁煙についてお話ししていきたいと思います。

昨今、禁煙が叫ばれるようになってきて健康のためはもちろんのこと、上がり続けるタバコ税に対して禁煙を始められた方もおられると思います。

歯科でも歯周病を予防したり治療するために禁煙指導を行っています。からだのためはもちろんですが、歯にも悪いのです。なぜかというとタバコは歯周病を重症化させやすいからです。さらに悪いことに、喫煙者の歯ぐきは腫れにくく、歯周病が悪化していても見逃しやすいばかりか、気づいて治療をはじめても、治りにくいという現実があります。歯を大事にしてずっと残したいのであれば、ぜひ禁煙をおすすめします。

 

タバコの口への害は、多くの歯科医師がずっと感じてきたことでした。いうまでもなくタバコは「口」で吸います。タバコの有害物質が直接当たる口は、タバコの害をダイレクトに受けやすいのです。特に目立つのが、前歯の裏の歯ぐきや上あご(口蓋)へのダメージです。

 

全身的な影響も深刻です。口や肺から吸収された有害物質が血流に乗って全身に運ばれると、細菌と戦いからだを守る免疫細胞の元気がなくなりますし、血流も悪くなります。

 

つまりタバコを吸うと、口は直接・間接のダブルパンチで有害物質の影響を受けるのです。また、禁煙後も他の臓器と比べて、その影響を長く引きずりやすいこともわかっています。将来、歯を失わないためにも、ぜひ若い頃から禁煙することをおすすめします。

 

ここで、おタバコを吸わない方と、吸われる方の歯ぐきの違いについてご説明致します。

タバコを吸わない歯周病の人のお口は、歯にプラークがくっつきにくく歯ブラシで除去しやすく、免疫細胞が元気で細菌とさかんに戦います。炎症が起こると歯ぐきが腫れるので、歯周病の進行を見逃しにくい。治療後の治りも早いです。

 

では、おタバコを吸う歯周病の人のお口はというと、ヤニのベトベトにプラーク(細菌の塊)がくっつき、それが歯石になります。タバコを吸うと歯石が増えるので歯周病のリスクが増えます。免疫細胞に元気がなく細菌と戦わないため重症化しやすいですし、歯ぐきが硬くなり炎症で腫れにくく見逃しやすく治療後の治りも遅いです。腫れや出血が少ないのは、タバコに含まれる有害物質のために歯ぐきが硬くなるからです。血管が収縮して血流も悪くなるので赤くなりにくく、そのため重症化を見逃しやすいというわけです。

歯周病と糖尿病の関係について

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日は歯周病と糖尿病の関係についてお話ししていきます。

 

近頃、歯周病と全身の疾患についての関係が取り上げられてきています。歯周病と心臓病や歯周病(お口の清掃不良)と誤嚥性肺炎などです。そして最近特に注目されているのが、歯周病と糖尿病の関係についてです。お口の健康と体の健康は実は切っても切れない関係にあります。一見似ても似つかぬ歯周病と糖尿病は、実はとっても気が合うお友達で、「炎症兄弟」と言われています。しかもこの2人は火遊びが大好きなのです。

 

歯周病はお口のなかだけの病気というのは、実は大きな誤解です。歯周病は「炎症」を通して、からだ全体に悪影響を与えます。

炎症とは、からだの中で起きる”火事”のことです。からだの”火事”には、インフルエンザや肺炎など高熱が出る大きな火事と、歯周病のように歯のまわりで”ぼや”がくすぶる小さな火事の2種類があります。

 

疲れたとき、歯ぐきが腫れて歯が浮くような感じがしたことはないでしょうか?あれがまさに炎症です。お口の清掃が不十分だと、歯と歯ぐきの間にバイ菌の塊(プラーク)がこびりつきます。すると、このバイ菌と免疫軍団との間で戦争が起こり、結果として歯ぐきが腫れて出血します。

 

ミクロなレベルで見れば激しい戦闘なのですが、からだ全体から見れば小さなボヤに過ぎません。歯周病がひどくても熱が出ない理由です。

 

でも、このボヤで出てくる”煙”が大のくせものです。歯周病による炎症は、周囲に「サイトカイン」という煙=悪玉ホルモンをたっぷり吐き出します。これは血糖値を下げるただひとつのホルモンであるインスリンの邪魔をして、血糖値をあげてしまうのです。

 

実は糖尿病患者さんのお腹のなかでも、あぶらを貯めすぎた悪玉脂肪細胞を、免疫軍団が悪玉と勘違いして攻撃することで、炎症が起きて血糖値が上がります。それと同じことが歯周病でも起こるわけです。

 

歯周病と糖尿病は、炎症という契りを交わした”義兄弟”なのです。

 

では、歯周病の方で糖尿病も患っている場合、もうどうしようもないのか?というとそうでもありません。実は糖尿病の方で歯周病も患っている場合、歯周病の治療をしたことで血糖値の数値が大幅に改善されたという研究報告もあります。これは上記の炎症理由を読んでいらっしゃれば、なぜそのようなことが起こるのかについてお分かりになられるかと思います。ですから、糖尿病を患われている方は積極的に歯科を受診してお口の中の検査を受け、歯周病であれば是非とも歯みがき指導を受けることと、歯周病の治療を受けて、歯周病と糖尿病の安定をはかっていかれると良いと思います。

酸蝕症について

こんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

だんだんと朝晩の冷え込みも始まり、紅葉も色づいてきましたね。新米も出始めて食欲の秋です。

 

そんな収穫の秋ではありますが、今日は「酸蝕症」についてお話していきます。

皆さんは「酸蝕症」という歯の病気をご存知でしょうか?酸蝕症とは、酸性度の強い食べ物や飲み物、また逆流胃酸に日常的にさらされることにより、歯が病的に溶けて、傷んでしまう症状をいいます。酸っぱいものを欠かさず食べる健康志向の食生活や、ストレス社会のなか増え続けている逆流性食道炎など私たちの食生活や多忙な毎日との関わりがあるので現代人ならではの生活習慣病として注目されています。

 

「酸蝕症?自分は関係ないだろう」と思っていたら大変です。国内の実態調査では、全世代を通じて4人に1人の罹患率となっています。ですから、むし歯や歯周病に続く第3の疾患として注目されています。

 

歯はもともと、酸がとても苦手です。酸に触れると化学反応を起こして溶けてしまうからです。とはいえ、食べ物のほとんどは酸性。味噌も醤油も穏やかな酸性です。なのに歯が溶けてなくなってしまわないのは、唾液が酸を洗い流し中和して、歯を守ってくれているからです。ただし、唾液の能力にも限界があります。強い酸が口のなかに繰り返し入ってくると、唾液の作用が追いつかず、歯が溶けてしまうのです。

 

むし歯も、虫歯菌の出す酸によって歯が溶けて穴があく病気ですが、酸蝕症との決定的な違いは「被害の範囲」です。むし歯は、みがき残したプラーク(細菌のかたまり)のなかに棲むむし歯菌が、砂糖を食べ酸を出すことによって起きます。そのため、起きる場所は限局的です。一方、酸蝕症は、酸が触れた歯面すべてで起きます。つまり被害が広範囲になりやすいのです。

 

また、硬いエナメル質が溶けて薄くなったところにむし歯ができると進行が加速し、酸で軟らかくなった歯は磨耗・咬耗も病的に進行しやすく、トラブルが複合的に拡大しやすくなるのも酸蝕症の特徴です。

 

酸蝕症は、現代の食生活や生活習慣と関わりの深い病気です。酸蝕症になりやすい要因をこの機会に知って、歯を溶かす習慣を止め、大切な歯を守っていきましょう。

 

そして最近では、胃酸による酸蝕症も増えてきています。現在では酸蝕症の原因として注目されているのが、「胃酸の口への逆流」です。専門家の医師によると、現代人の約10人に1人に逆流性食道炎の疑いがあり、罹患率は増加中なのだそうです。

 

胃酸の逆流を誘発する代表的な因子は、炭酸飲料やすっぱいものの食べ過ぎ飲み過ぎ。炭酸飲料やすっぱいものといえば、グミや干し梅などといったすっぱいお菓子に熱中症対策のスポーツ飲料、健康志向による柑橘類や飲酢、ワインや酎ハイなどの酸味のあるお酒に、レモン・酢・トマトなどを使って酸味のある食事メニューなどです。

 

逆流性食道炎を防ぐための消化器内科の食事指導と、酸蝕症を防ぐための歯科の食事指導に共通項があり、ひとつの指導内容が両科の治療に役立つのですから、これは患者さんにとって大きな朗報です。

 

このほか、摂食障害(拒食症や過食症など)による、持続性の嘔吐と酸蝕症の深いかかわりも報告されています。この場合は、心療内科に相談し、歯科でも歯が溶けていないか診てもらうと良いでしょう。

 

ホントに怖い!根面むし歯について

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日は「本当は怖い根面むし歯」についてお話していきます。

 

まず、根面むし歯とは歯肉(歯ぐき)が下がって露出した歯の根の表面にできるむし歯のことです。高齢者のかたを中心に、今、大人の方に増えています。

 

歯は大別して、ものを噛む部分である「歯冠部」と歯を支える「歯根部」から成ります。歯冠部は歯肉(歯ぐき)より上の部分、歯根部は歯肉に埋まっている部分というのが、臨床的な分類です。

 

加齢や歯周病により歯肉が下がると歯の根が見えてくるわけですが、この歯肉から覗く歯根部の面を、「根面」と呼びます。そして、この露出した根面がむし歯になることを「根面う蝕」といいます。

 

根面がむし歯になるというのはどういうことなのでしょうか?

家で例えるなら、建物自体は新築同様に維持できているのに、土台の柱がシロアリに食べられてしまっているようなものです。柱が崩れれば、建物はきれいなまま、ポキリと倒れてしまいます。

年齢とともに歯肉が下がることが多いため、根面う蝕は「高齢のかたの疾患」というイメージがありますが、実はそうとは限りません。歯周病などで歯肉が下がれば、当然、若い人にも起こりえます。

 

ではなぜ、根面はむし歯になりやすいのでしょうか?

 

根面がむし歯になりやすい理由は2つあります。

 

①根面の象牙質を覆うセメントがごく薄いこと。

歯冠部の場合、厚みがあり硬いエナメル質が鎧のように象牙質を覆って いますが、根面では、ごく薄いセメント質がコーティングしているだけです(場所によっては、もともとセメント質がなく象牙質がむき出しのこともあります。)

その厚さは薬用オブラートと同程度の20ミクロンほど。そのためセメント質は細菌の出す酸によりたやすく溶かされてしまい、すぐに内部の象牙質が露出してしまいます。

 

②象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、成分が溶け出すpHが高い。

私達のお口のなかは、飲食ごとに、お口の細菌の酸によりpHが下がります。一定のpHを下回ると、歯の成分が唾液中に溶け出す(脱灰)のですが、この現象が起こるpHがエナメル質と象牙質では違います。溶け出すスタートラインは、エナメル質が5・5で、象牙質は6・4。つまり、いままでエナメル質では溶けはじめなかったpHでも、象牙質は溶けはじめてしまうのです。

 

このように、根面はすぐに象牙質がむき出しになり、しかも象牙質は歯の成分が溶け出しやすい性質があります。歯冠部はむし歯ひとつないのに、気づかないうちに根面のほうがむし歯になっているというケースが起こりうるのは、このためです。

いまどき話題の歯みがき剤は?

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日はいまどきの歯みがき剤についてお話ししていきます。

 

歯みがき剤にフッ素が入っているのはもはや当たり前の時代になりました。フッ素+殺菌剤配合の製品もだいぶ普及している現在はさらなる高機能歯みがき剤の開発が進んで最近では、再石灰化成分まで加わった製品など画期的な歯科専売品も誕生しています。ご紹介していきます。

 

いまや歯みがき剤にフッ素は当たり前とはいえフッ素は、ただ配合されていればよいというものではありません。歯にしっかり機能してむし歯予防に役立ってくれなければ困るわけで、口の中に残った少ないフッ素をいかにより効果的に働かせるかは、歯みがき剤の開発者にとって、永遠のテーマであり続けています。

 

フッ素は、カルシウムとたいへんくっ付きやすい性質を持っています。例えば、歯みがき剤のフッ素が、歯に作用する前に、唾液のなかのカルシウム(唾液のなかには歯の再石灰化に使われるカルシウムがたっぷり溶け込んでいます)とくっ付いてしまったらどうでしょう。肝心の歯に作用しなくなってしまうので、これでは困りますよね。

 

このように、フッ素の配合ひとつとっても重要な研究テーマですが、これに殺菌剤を加え、さらに他の有効成分も加えて、それらの成分が相殺し合わずにしっかり働く歯みがき剤を作るには、実はたいへんな努力と工夫が重ねられています。

 

さて、そうした開発者の苦労が実って製品化にこぎ着けた、最近話題の高機能歯みがき剤をご紹介いたします。

 

それは、フッ素+殺菌剤に加えて、再石灰化成分(リン酸とカルシウム)が配合された歯みがき剤です。歯の再石灰化、つまり補修に使われる成分が口のなかにタップリと供給されれば、初期むし歯の治療や予防にとてもよさそうです。

ただ気になるのが、先ほど言ったように、フッ素と再石灰化成分をいっしょにして、それでもこれらの成分は働くのだろうか、ってことです。そこである研究所が牛の歯を使って実験してみたところ、それぞれがちゃんと機能して効果を上げることがわかりました。

 

もう一つは、中高年のかたに多い「根面う蝕」の予防をターゲットにした製品です。歯ぐきが下がって剥き出しになった象牙質は、むし歯になりやすく、進行もしやすい要注意箇所で、中高年層のむし歯予防のなかでも重要なテーマになっています。

この製品はフッ素のほかにコラーゲンの保持を目的とした有効成分PCAが入っています。フッ素はエナメル質はもちろん、象牙質にも効きますが、象牙質にはコラーゲンも含まれるため、このコラーゲンの抵抗性もあげて象牙質を守ろうというわけです。

 

コラーゲンは、むし歯菌の出す酸や酵素に弱く、これが失われると象牙質がもろくなってしまいます。そこで、歯の結晶ばかりを守ろうとしていたこれまでの研究から、コラーゲンもいっしょに守って壊れにくくしようという発想の転換が面白いですよね。新機軸の歯みがき剤、中高年のかたにおすすめです。

 

ご自身のお口に合わせた歯みがき剤を知りたい方は、ぜひ歯科衛生士までご相談くださいませ!

 

 

虫歯は止められる?!

みなさんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

今日は、虫歯についてお話ししていきます。

 

虫歯は一度始まってしまったら「削って治すしかない」と思っておられるかたには、虫歯を「生活習慣の改善で止めよう」とお話しすると、驚くかたもおられると思います。

昔から歯の治療といえば、「歯を削って詰める」といった、外科のイメージが強いですから。

 

虫歯は本来、ある日いきなりポコッと穴が開く、という急性の病気ではありません。歯みがきが雑だとか、おやつをしょっちゅう食べるといった生活習慣が原因でジワジワとはじまり進行していきます。

最初は表面が酸で溶けて透明感がなくなる程度で、歯をよく乾かさないと見えにくく、歯科医院の定期検診でシューッとエアーをかけてもらったときに「初期むし歯ですね」と見つかることが多いです。

 

むし歯の進行を止める治療は、定期検診で引っかかってはじめてわかる糖尿病など、内科の生活習慣病とよく似ています。検査で「血糖値が高めだ」とわかると、はじめるのが食事や運動など生活習慣の改善ですよね。インシュリンだ、透析だといった治療は、病状が進行してはじめて必要になります。そうならないように、内科で指導を受けて生活改善で血糖値を下げ、進行を止めることがもっとも重要なわけです。

 

虫歯も糖尿病と同じです。削って詰めなければならない場合、それはもうかなり進行した状態。定期検診で「初期むし歯があります」と早期発見できれば、歯科の指導で歯みがきや食事など、生活習慣の改善と上手なフッ素利用を続けることで、虫歯は止まるし、ごく初期であれば元どおりに治せます。

 

フッ素配合歯みがき剤の普及でむし歯が減った現在は、外科手術(削る治療)が必要になる前の段階で虫歯を見つけ、削る歯を減らして患者さんの歯を守る、というのが歯科の重要な仕事になっています。歯科医院が定期検診をおすすめするわけは、病気を早期発見できるからです。初期むし歯の段階で見つけることができれば、歯科指導を受け、生活習慣を改善してむし歯の進行を止めることができますし元通りに治せる可能性も十分にあります。削らずにすむ段階でむし歯を見つけるため定期的に歯科で診てもらうと良いと思います。

 

生活習慣の改善によるむし歯の進行コントロールで、もっとも患者さんにメリットが大きいのは、なんといっても初期むし歯(Co)の段階です。

C1まで進むと、この段階ではすでに歯の外形が少し崩れていますし、リスク管理で進行を止められるとはいえ、崩れてしまった部分が戻ってくるわけではありません。しかし、初期むし歯の段階で見つけられれば、元どおりのきれいな歯に戻せる可能性があります。

 

具体的な方法としては、数ヶ月に一度歯科医院でメインテナンスを受けていただくこと、一日に一度はていねいな歯みがきをすること(とくに就寝前)、プラークの残りやすいところをおぼえ、ポイントを押さえた歯みがきをすること、必ずフッ素の入った歯みがき剤を使うこと。うがいは少なめにして最後にフッ素洗口をすること。そしておやつやスポーツ飲料は、時間を決めてとる(頻回にとらない)ことです。

 

もちろん人によってどの部分が重要かは違ってきます。

ぜひ定期検診で歯科衛生士からご自分に合ったセルフケアの方法を聞いて、むし歯予防を高めていきましょう!

予防の基本はプラーク除去と歯みがき剤で!

皆さんこんにちは!中里デンタルクリニック. です。

 

今日は、「むし歯予防の基本はプラーク除去と歯みがき剤」についてお話ししていきます。

 

前回でも少しお話ししましたが、昔の歯みがき粉から現在の歯みがき剤に変わってから、殺菌成分やフッ素が入るようになったことで、むし歯への罹患率が昔より少なくなってきました。これは日本だけで起きたのではありません。フッ素入りの歯みがき剤が普及しはじめた頃、多くの国々で同様の変化が起こっていることを考えると、フッ素入り歯みがき剤のむし歯予防への貢献の大きさが伺えると思います。

 

しかし、だからと言って、これを使いさえすれば歯みがきはどうでもよいと思われるとちょっと困ります。

歯みがきが雑でも、使わないよりは使ったほうがいいのですが、配合成分のポテンシャルを十分に引き出すには、やはり歯みがきは大事だからです。

 

むし歯とは、プラーク(歯垢)に棲む虫歯菌の出した酸がプラークの中に溜まり、それに触れた歯が溶けることによって始まります。プラークが口の中に堆積していて酸がタップリあると、フッ素の働きでは間に合いませんし、プラークが歯を始終ベッタリと覆っていては、肝心のフッ素が歯に十分届きません。

 

また、殺菌剤についても同様です。プラークが分厚く堆積してしまうと、効果を発揮できません。というのも、プラークを放置すると、一日ほどで熟成し、強固な膜(排水口のベタベタみたいなもの)ができ上がります。虫歯菌はこの丈夫な膜で自分たちを守るので、殺菌剤といえども、なかに浸透して虫歯菌をやっつけることは、非常に難しくなるからです。

 

口の中に入れるものだけに、歯みがき剤に入れられる殺菌剤の濃度や種類には制約があり(排水口のように強い薬を流し込むわけにはいきませんので)、それだけに効果は限定的になってしまいます。

 

そこで重要なのが歯みがきです。プラークが熟成して丈夫な膜を作り歯にベッタリと張り付くまでには18時間ほどかかります。少なくとも一日に一度は歯ブラシでこすって、プラークを壊し、除去する必要があります。

歯を覆っているプラークの膜を破壊して取り除き、成分を歯に届かせることができると、歯みがき剤のもつ力がより効果的に発揮されます。

 

統計では、日本人の70%以上が朝晩2回歯みがきをしていて、また歯みがきタイムも他の先進国に比べて長いことがわかっています。歯みがき剤を上手に使い、歯みがきに勤勉な国民性を活かして、むし歯予防をさらに一歩、二歩と進めていきたいものですね。

歯磨き剤について

こんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日は歯磨き剤についてお話ししていきます。

 

皆さんは歯磨き剤をたっぷり使っていますか?

かつては「歯みがきのジャマをするから」とカラみがきが推奨されていた時代もありました。まだ歯みがき剤にフッ素などの有効成分が配合されておらず、香味や発泡剤も強かった頃の話です。

そんな歯みがき剤も、いまや虫歯予防に欠かせない必須アイテムとなっています。虫歯予防効果がもっとも期待できる方法として「フッ素(フッ化物)入りの歯みがき剤を使うこと」と世界保健機関(WHO)にも認められ、定められた安全基準をクリアしたすぐれた歯みがき剤が、世界の国々で積極的に使われています。

 

歯みがき剤にとっての大きな転機は、むし歯予防に効果のあるフッ素(フッ化物)が配合されたことでした。

 

フッ素配合の歯みがき剤の市場シェアが上がるにつれ、むし歯予防効果の恩恵を受ける人が増え、市場シェアの拡大と軌を同じくして、日本でもむし歯の罹患率が大きく下がりました。朝晩歯をみがくという、誰もがしている習慣により、口のなかにごく微量のフッ素が残って、効果を発揮したからだろうと考えられています。

 

ふだんの歯みがきに歯みがき剤を使うだけで、誰もがむし歯予防の恩恵を知らず知らず受けることができる。これが歯みがき剤の最大の強みなのです。

 

歯みがき剤に有効成分が入っていなかった数十年前の歯科では、「歯みがき粉はなるべく使わずに歯みがきを」と指導していました。その影響が残り、「歯みがき剤は歯に悪い」と思っているかたが、いまもおられるかもしれません。

 

しかし、時代は変わりました。現在、歯科医院やドラッグストアで販売されている多くの歯みがき剤は、厳しい基準をクリアした「医薬部外品」であり、私たちの歯を守ってくれる重要なアイテムです。この機会に歯みがき剤についての知識を深めていただき、毎日の歯みがきの予防効果をさらに高めるための、ちょっとしたコツを覚えていただければと思います。

 

※小さなお子さんの適切な歯みがき剤使用量については、歯科医院や乳幼児健

診で指導を受けることが必要です。

 

現在、国内で販売されている歯みがき剤の90%以上にフッ素が入っており、フッ素が入っているのはもはや「当たり前」といってよい時代になりました。今時の歯みがき剤はさらに先を行き、配合されたフッ素が低濃度でもフルに働くようその機能を高めたり、再石灰化(歯を修復する唾液の働き)を促進させる機能をプラスしたり、殺菌剤を配合したりと、プラスアルファの効果を狙った製品が次々に誕生しています。

 

それと同時に、香味も発泡性も、ていねいな歯みがきのジャマをしないようにと、たいへんマイルドになりました。

また、患者さんからよく質問を受ける研磨剤(清掃剤)については、粒子が非常に細かくなって、歯にやさしく安全なものが使われています。近頃の歯みがき剤は、カラさもザラザラ感も、まるで気にならなくなりました。

 

こうした香味や舌触りへの企業努力は、日本の製品ならではだと思います。

海外旅行に行く機会があれば、外国の歯みがき剤を買って試してみてください。国産歯みがき剤の使用感の良さに気づくと思います。

 

こうした事情から、かつて流布されていた「歯みがき剤無用論」はまったく過去のものとなりました。安心して、タップリと(ただし小さなお子さんが使う場合は、適正な使用量についての指導を歯科医院や自治体の乳幼児健診で受けましょう)お使いいただくことをお勧めいたします。

 

 

定期的メンテナンスについて

こんにちは、中里デンタルクリニック.です。

今日は定期的メンテナンスについてお話をしたいと思います。

皆さんは歯が痛くなって歯科医院を受診したら他にも悪いところが見つかって不安になったり、治療が終わって「もう大丈夫」と思っていたら、しばらくしてまた悪くなった経験はありませんか?

 

お口の環境を改善して病気の原因を減らさないと新たなトラブルと治療のいたちごっこになってしまいます。そういった虫歯や歯周病になりにくいお口に変えるために定期的メンテナンスについてのお話をしていきたいと思います。

 

まず、定期的メンテナンスとは歯科医院で受けられるプロフェッショナルケアのことです。虫歯や歯周病の原因を調べ、対策を打って原因を減らして、歯や治療したところを守り、長持ちさせていきます。悪くなってからではなく、普段から定期的に歯科医院を受診していただけると、虫歯や歯周病の徴候をチェックし、早期に対策を打って、長期的に患者さんのお口の健康を守っていくことが可能になります。

 

若い頃からはじめ、長期間続けるのがいちばんいいのはもちろんですが、中高年からはじめても十分に効果があります。

 

日本人の平均では40代、50代、60代で歯が急勾配で減っていくのに対し、メインテナンスを続けている40代、50代、60代では勾配がなだらかで歯の喪失が少なくなっています。メインテナンスを継続している方の場合、8020の達成は、それほど高いハードルではないことがわかります。

 

まして10代、20代から定期的メインテナンスを継続的に受ければ、ほとんど歯を失わずに80代を迎えられる可能性もおおいにあります。

 

虫歯も歯周病も、知らないうちに少しずつ壊れていく病気。壊れてから「穴が開いた!」「グラグラする!」と気づいて治療を受けても歯を救うには手遅れになってしまっている場合も多々あります。

 

早めに気づいて対策をとるため、定期的なメインテナンスをはじめませんか?歳を取っても入れ歯やインプラントと無縁でいられて、歯の悩みを一生味わわずにすんだら、どんなに気がラクで晴ればれと過ごせるか、人生の最期まで肉もタコもイカも美味しく食べられ、しっかり栄養を摂って元気でいられたらどんなに楽しいか、ぜひ想像してみてください。

 

それでは、メンテナンスではどんなことをするのかについてお話していきます。

 

定期的なメインテナンスは、たんなる健康診断とは違います。検診+歯科指導+クリーニングが受けられる歯科独自のシステムです。健康診断の他に、歯や歯ぐきをすみずみまでクリーニングし、患者さんに合ったセルフケアや間食のコツをお教えします。歯がツルツルになりお口の中がスッキリして気持ちが良くなります。

 

定期検診で受けた歯科指導をお家でのセルフケアに活かしていくことができるようになると、さらにお口の健康寿命を延ばしていくことができるようになります。定期的メンテナンスを通して自分で自分のお口の健康を高めていくことができるよう精一杯サポートしていきますので、ぜひ定期的メンテナンスを受けていきましょう!

お口の中の隠れたヒーロー!「唾液」の力

私たちのお口の中の「唾液」。ほとんどの人にとって普段は意識しない、関心がないものだと思います。しかし、唾液はお口の健康を守るため日夜闘う働き者で、全身の健康にも大きく影響しています!今日は私たちのからだを守る知られざるヒーロー、唾液の働きについてお伝えしていきます。

「唾液」というとなんだか汚いイメージがあったり、単なる水という認識があるかもしれませんが、実は非常に高性能な「機能水」と言えます。

「唾液」はもともとは血液です。水分を摂取すると胸骨や肋骨などにある骨髄で血液がつくられ、その血液が唾液腺にて唾液へとつくりかえられます。

健康な成人の場合、唾液は1日に約1000〜1500㎖、実に500㎖入りのペットボトル2〜3本分つくられます。1日のうちでも唾液の出る量は変化していて、特に就寝時に低下します。また、唾液の分泌量は加齢とともに低下していく傾向にあります。

唾液の99%以上は水ですが、残りの1%にさまざまな成分が含まれています。成分は血液から移行してきたものだけでなく、唾液腺で新たに作り出されるものもあります。

・リン酸、カルシウム(歯の補修作用)

・アミラーゼ(消化作用)

・ムチン(潤滑作用、粘膜保護作用)

・重炭酸(緩衝作用)

・IgA(免疫グロブリンA)、ラクトフェリン、リゾチーム(抗菌作用)

・成長ホルモンなどの各種成長因子(粘膜の保護や細胞の保護)

・糖タンパク(歯の保護)など

 

これらの成分が入っていることがわかりましたが、ではどんな働きをするのか、ご紹介したいと思います。まず一つ目は、お口を清潔に保ちます。唾液には食べカスや細菌を洗い流して、お口を清潔に保つ自浄作用があります。唾液が減り口の中が汚れやすくなると、細菌が繁殖しやすくなります。すると、最近の塊であるプラークが増えていき、虫歯や歯周病といったお口の病気になりやすくなってしまいます。

二つ目は、お口の粘膜を守ります。唾液の成分であるムチンは潤滑油として粘膜を保護する作用があります。唾液が減るとお口の粘膜の潤いが足らず、傷ついて口内炎などになりやすくなります。また、唾液中の成長因子も粘膜を保護し修復します。

三つ目は、お口の中を中性に戻します。お口の中はもともと中性のpHですが、飲食をすると、お口の細菌の出す酸や飲食物の酸により、pHが酸性に傾き、歯の成分が唾液中に溶け出していきます(脱灰)。唾液中の重炭酸イオンは、お口の中のpHを中性に戻す作用があります。

四つ目は、歯を補修します。唾液中に溶け出した歯の成分(リン酸やカルシウム)は、時間をかけて唾液から歯に戻り、歯が補修されていきます(再石灰化)。また唾液中の糖タンパクは、歯の表面を保護する膜を作ります。

五つ目は、細菌感染から守ります。お口の中にはおびただしい量の細菌が存在し「口は感染の入り口」ともいえます。唾液の自浄作用と、IgA、リゾチーム、ラクトフェリンなどによる抗菌作用で、むし歯菌や歯周病などの細菌活動が抑制されます。

他にも、食べ物をまとめやすくしたり消化を助けたり、味を感じさせたりと様々な働きがあります。

また、お口の中だけでなく体への働きとして、感染症を予防したり、食道や胃の粘膜を保護したり、消化を助けたりという働きもあります。

 

唾液は加齢ともに分泌量が減るとお伝えしましたが、増やすコツはあります。まずは水分をとることと、よく噛んで食べることです。脱水状態になると唾液の量も減少しますし、お口の筋力が落ちてきても量が減少します。ですから日頃から意識して水分をとり、よく噛んで筋力低下を防いでいくことも大切になってきますね。

その他、唾液腺のある耳の前あたりの頬を軽くおさえて優しく円を描くように手のひらでマッサージしたり、あごの下を親指で軽く押すように刺激することも有効です。

その他、イソフラボンを含んだ納豆や、ケルセチンを含んだネギ・タマネギなどの食品を摂取すると唾液の量を増加させると言われていますし、腸の免疫力をアップさせることにより、唾液の質をアップさせることもできるそうです。

以上のことから、唾液には本当にたくさんの働きがあります。日頃の歯磨き習慣も大切ですが、質の良い唾液を作るためにも、栄養のある食品をよく噛んで食べることも大切になってきますね!