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教えて!歯医者さん

皆さんこんにちは!中里デンタルクリニック.アシスタントの石橋です。 寒さの中に春の気配を感じる頃になりました。 今回は、治療を受けた後になって湧いてくる不安。歯科医院に対する本音の不安。そんな本音の質問にお答えします。 【Question】 歯周病になって、顎の骨が減ってしまった歯があります。グラグラしてますけど「再生療法」ってのを受ければどうにかなりますよね?(50代・男性) 【Answer】 歯周病によって失われた組織を回復する治療法を「歯周組織再生療法」と言います。ただ、患者さんの顎の骨の状態によっては組織が十分に再生されないこともあります。どういったケースが再生療法に向いているか、いないかをご説明しましょう。 〈解説〉 歯周病で失われたあごの骨や歯根 膜。セメント質などの歯周組織を回復させる「歯周組織再生療法」(以下「再生療法」と呼びます)。技術の進歩にともない。昔なら抜くしかなかった歯も残せるようになってきています。 ただ。どんな状態の歯でも再生療 法で残せるようになるかというと、 そうではありません。あごの骨がどのような形で失われているかによって難易度が違うのです。再生療法は。骨が失われた場所に 歯周組織再生材料を塗布して、組織の再生を促す治療法です。欠損部分に血餅(かさぶた)がつくられて、それが新しい組織に置き換わることで再生が起こります(塗布する前には、歯周ポケット内のブラークや歯石、壊死した組織などをきれいに除去します)。 歯周病になると、細菌感染にとも なう炎症により、あごの骨が失われていきます。骨がどのように失われるかは一概には言えませんが、欠損部の形態によって、再生療法後に組織が再生しやすい、または再生しにくいというのがあります。 歯周組織の再生がもっとも期待で きるのは、根が1本の歯(前歯や大歯など)で、下の図の①のように、歯の根を囲むようにあごの骨が失われているケースです。この形だと、組織再生の最初の段階である血餅が欠損でできた凹みに形成されやすいため、組織が再生しやすいのです。 逆に、②③のように、囲みの片側 あるいは両側が欠けているケースは、血餅の形成が難しくなるぶん再生も困難になります。血餅の形成のため、骨移植を併用することも多いです。 そして、④のようにあごの骨が全 体的に減ってしまっているケースでは、基本的には再生は不可能です。 歯科から再生療法をご提案する際 には、レントゲン写真などをお見せしながら、歯を支えるあごの骨がどのように失われているかを詳しくご説明します。もちろん私たちもベストを尽くしますが、「再生療法をしても効果が上がりにくいかもしれません」とお伝えする場合、このような背景があることをご理解いただければと思います。