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歯周病菌、その裏稼業はがんの誘発

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック歯科衛生士の松田です!最近雪も降り出していよいよ冬になってきましたね・・・ 部屋もエアコンからストーブにしないと寒くて一日過ごせません・・・出費も気になりますが風邪を引かないように暖かくして過ごしましょう! 今回は「歯周病菌、その裏稼業はがんの誘発」ということで、歯周病菌についてのお話です。みなさん歯周病は年を取るからなると思っていませんか?実はそんなことは全く無くて、歯周病菌とうまく付き合っていくことで防ぐことができるんですよ!また、今回のテーマにあるように歯周病菌は全身の病気に関わってくると言われておりますので、なるべく早い段階から予防や治療をしていきたいですね。 詳しく今回の内容についてお話していこうと思います!私達の胃腸は、自分の出す消化酵素では食物繊維を分解できません。そんな胃腸の働きをたすけ。体に有効な代謝産物を合成してくれるのが腸内の善玉菌です。 この最近たちの代謝産物である酵素などの揮発性脂肪酸は、腸管粘膜でエネルギー源として使われるほか、腸の運動を活発にしてくれます。ところが、細菌との付き合いは良いことばかりではありません。健康な人の腸内には善玉菌が約20%、悪玉菌が約10%、どっちつかずの日和見菌が約70%います。しかし、日和見菌は、状況が悪くなると(つまり腸内環境が悪化してしまうと)悪玉菌に加担します。悪玉菌に味方する日和見菌が腸内に増えた病的な細菌構成を「ディスバイオーシス」と言います。腸のディスバイオーシスは、免疫系を破綻させアレルギー疾患の誘発にも関与する他、さまざまな病気の引き金や増悪因子となります。同じ錠に、お口の中でもディスバイオーシスは起こります。嫌気性グラム陰性菌が増えた病的な細菌構成が「口腔ディスバイオーシス」。口腔ディスバイオーシスをもたらす代表的な細菌が、歯周ポケットに棲む歯周病の原因菌のフゾバクテリウムです。フゾバクテリウムも腸内善玉菌と同様、お口の中で酪酸を合成します。しかしその働きは真逆。フゾバクテリウムは合成する酪酸ななどの揮発性脂肪酸は、硫化物、アンモニアなどとともに、強烈な口臭の原因となります。しかも口腔ディスバイオーシスを引き起こしたフゾバクテリウムは、悪臭漂う酪酸や硫化物によって、なんと免疫細胞の働きを混乱に陥れてしまうのです。 私達のからだは、約60兆個の細胞から作られており、その約2%が毎日入れ替わっています。新しく作られる1兆個を超える細胞には、がんになる可能性のあるミュータント細胞が数千個含まれます。私達を守る免疫担当細胞は、連携してそうした悪い細胞を殺してくれています。免疫か体の外から侵入する病原体と戦うだけでなく、自分のからだの中で生まれたがんになろうとする細胞を攻撃し、がんにならないように働いてくれているのです。高齢になるとがんの発症が増加するのは、ミュータント細胞を殺してくれる免疫機能が年齢とともに低下していくからです。近年の研究で、歯周ポケットに棲むフゾバクテリウムがからだに入り込んで免疫細胞を撹乱し大腸がんや食道がん をつくることが分かりました。それだけでなく、がんになった部位にフゾバクテリウムが感染すると、がんの進行が早くなり、転移も多いことが明らかになりました。がんの部位で見つかるフゾバクテリウムを調べると、その方のお口のフゾバクテリウムと遺伝子パターンが同じ。つまり、「歯周病はがんの発症リスクの一つ」であり、歯周病のリスクを下げることができるのです。 そのために、定期的なクリーニングやお家での歯磨きをしっかりしていただき、炎症(出血)をさせないということが大事になってきます。口腔内の細菌を無くすことは出来ませんので、なるべくその菌が暴走しないように炎症のないお口を目指していきましょう!