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ホントに怖い!根面むし歯について

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。   今日は「本当は怖い根面むし歯」についてお話していきます。   まず、根面むし歯とは歯肉(歯ぐき)が下がって露出した歯の根の表面にできるむし歯のことです。高齢者のかたを中心に、今、大人の方に増えています。   歯は大別して、ものを噛む部分である「歯冠部」と歯を支える「歯根部」から成ります。歯冠部は歯肉(歯ぐき)より上の部分、歯根部は歯肉に埋まっている部分というのが、臨床的な分類です。   加齢や歯周病により歯肉が下がると歯の根が見えてくるわけですが、この歯肉から覗く歯根部の面を、「根面」と呼びます。そして、この露出した根面がむし歯になることを「根面う蝕」といいます。   根面がむし歯になるというのはどういうことなのでしょうか? 家で例えるなら、建物自体は新築同様に維持できているのに、土台の柱がシロアリに食べられてしまっているようなものです。柱が崩れれば、建物はきれいなまま、ポキリと倒れてしまいます。 年齢とともに歯肉が下がることが多いため、根面う蝕は「高齢のかたの疾患」というイメージがありますが、実はそうとは限りません。歯周病などで歯肉が下がれば、当然、若い人にも起こりえます。   ではなぜ、根面はむし歯になりやすいのでしょうか?   根面がむし歯になりやすい理由は2つあります。   ①根面の象牙質を覆うセメントがごく薄いこと。 歯冠部の場合、厚みがあり硬いエナメル質が鎧のように象牙質を覆って いますが、根面では、ごく薄いセメント質がコーティングしているだけです(場所によっては、もともとセメント質がなく象牙質がむき出しのこともあります。) その厚さは薬用オブラートと同程度の20ミクロンほど。そのためセメント質は細菌の出す酸によりたやすく溶かされてしまい、すぐに内部の象牙質が露出してしまいます。   ②象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、成分が溶け出すpHが高い。 私達のお口のなかは、飲食ごとに、お口の細菌の酸によりpHが下がります。一定のpHを下回ると、歯の成分が唾液中に溶け出す(脱灰)のですが、この現象が起こるpHがエナメル質と象牙質では違います。溶け出すスタートラインは、エナメル質が5・5で、象牙質は6・4。つまり、いままでエナメル質では溶けはじめなかったpHでも、象牙質は溶けはじめてしまうのです。   このように、根面はすぐに象牙質がむき出しになり、しかも象牙質は歯の成分が溶け出しやすい性質があります。歯冠部はむし歯ひとつないのに、気づかないうちに根面のほうがむし歯になっているというケースが起こりうるのは、このためです。