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根面う蝕について

皆さんこんにちは! 中里デンタルクリニック.アシスタントの荒谷です。 こないだまでの猛暑が嘘のように、一気に秋めいてきましたね。気温差に注意しながら、体調管理なさってください。 さて、今回のテーマは『根面う蝕』についてです。加齢や歯周病により歯茎が下がると、歯の根が露出します。見かけも気になるところですが、それ以上に問題なのが、歯の根の表面はとても虫歯になりやすいということ。噛むところの歯はピカピカなのに、根元が虫歯になってポキリ。せっかく残せていた歯を失いかねない「根面う蝕」について、詳しく説明していきます。 歯は大別して、物を噛む部分である「歯冠部」と、歯を支える「歯根部」から成ります。歯冠部は歯茎より上の部分、歯根部は歯茎に埋まっている部分というのが、臨床的な分類です。加齢や歯周病により歯茎が下がると、歯の根元が見えてくるわけですが、この歯茎から覗く歯根部の面を「根面」と呼びます。そして、この露出した根面が虫歯になることを「根面う蝕」と言います。 根面が虫歯になりやすい理由を挙げていきます。まず、根面の象牙質を覆うセメント質がごく薄いことです。歯冠部の場合、厚みがあり硬いエナメル質が鎧のように象牙質を覆っていますが、根面では、ごく薄いセメント質がコーティングされているだけです。更に、そこのセメント質は細菌の出す酸により、すぐに溶かされてしまいます。そして悪いことに、象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、成分が溶け出すPHが高いのです。私たちのお口の中は、飲食ごとに、お口の細菌の酸によりPHが下がります。一定のPHを下回ると、歯の成分が唾液中に溶け出すのですが、この現象が起こるPHがエナメル質と象牙質では違います。溶け出すスタートラインは、エナメル質が5.5で、象牙質は6.4。つまり、今までエナメル質では溶け始めなかったPHでも、象牙質は溶け始めるのです。このように、根面はすぐに象牙質がむき出しになり、しかも象牙質は歯の成分が溶け出しやすい性質があります。歯冠部は虫歯ひとつないのに、気づかない内に根面の方が虫歯になっているというケースが起こるのはこのためですね。 虫歯予防は歯みがきによるプラークコントロールが最も大切ですが、根面う蝕に限って言えば、大元の原因は「歯茎が下がること」です。なので、一番の予防は「歯茎を下げないこと」となります。特に歯茎を下げる原因となるのが、皆さんご存知の「歯周病」です。歯周病が進行すると、細菌の炎症により歯を支える顎の骨が減り、その結果、歯茎が下がります。歯周病を予防するためには、痛みや歯のグラつき等を感じる前から、歯科医院にメンテナンスに通って、検査してもらうことが大切です。歯周病も根面う蝕と同じく自覚症状なく進行するので、定期的な検査が欠かせません。また、歯ブラシの押し付けすぎには注意しましょう。力を入れてみがく習慣がある方は、繰り返す内に歯を傷めて、歯茎が下がってしまうことがあります。歯や歯茎を傷めない、優しくて丁寧なみがき方を、歯科医院で教えてもらいましょう。 歯茎が下がって根面が見え始めたら、「年だから仕方ない」で終わらせずにぜひ中里デンタルクリニック.へ!せっかく残せている歯が危険にさらされているサインです。新しいお口の状況にあった予防の戦略を一緒に練り直しましょう!!