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エナメル質形成不全症とは?

皆さんはエナメル質形成不全症って聞いたことはありますでしょうか? エナメル質形成不全症とは、前歯と6歳臼歯に発症する先天的なエナメル質の形成障害のことです。見た目の特徴としては、初期虫歯の白濁とは少し違ったマット感のある色、そして黄色っぽい変色があげられます。 こうなる原因は不明なのですが、歯がアゴの骨の中で育っているとき、エナメル質が十分に成熟しないことによって起きると考えられています。たとえば永久歯の前歯と6歳臼歯はほぼ同じ時期にアゴの骨の中で育つので、その時期に記録が歯に刻まれて生えてくるというわけです。 前歯の場合、通常エナメル質に強い力がかからず、歯面もくちびるや舌と絶えずこすれてプラーク(歯垢)が溜まりにくいこともあって、欠けや虫歯といったトラブルが起きることは稀です。ただ、変色が気になるかもしれませんね。 一方、問題が起きやすいのは奥歯です。6歳臼歯など、噛んだときの強い力を受け止める歯がエナメル質形成不全症だと、噛み合っている歯とぶつかっているうちに、歯が崩れたりして、そこにプラークがたまると虫歯が発生します。 しかもその虫歯は、「あれ?こんなところに?」というような場所にもできます。奥歯の虫歯は、噛み合わせの溝や、歯と歯の間など、通常プラークのたまりやすい場所からはじまるものです。ところがエナメル質形成不全症と原因とする虫歯は、歯の山(咬頭)、つまりつねに食べ物や歯とこすれていてプラークがたまりにくい場所(つまり力がかかって崩れやすい場所)にできることが多いのです。 虫歯が多かった頃は、それにまぎれて気づかれていなかったエナメル質形成不全症を原因とする虫歯ですが、子供たちの虫歯が激減した結果、「なぜこんなところに?」「この子はなぜ虫歯が多い?」と本当の理由が浮かび上がるようになってきました。 しかも、大規模調査の結果、10人に1人はこうしたお子さんがいたというのですから、ことは重大です。「虫歯予防は親の責任だ!」という社会的なプレッシャーのなか、努力しても効果が上がらずに悩んでいるご家庭が相当数あるということだからです。 この先天的な原因によって起きる問題は、お子さんの歯磨きのせいでも、お母さんの仕上げ磨きが悪いからでもありません。早期発見することができれば、的確な処置を受け、その後の治療の見通しがわかりホッとできるのはないでしょうか? 痛くなった時だけ応急的に治療を受けていては発見は難しいので、定期的にメンテナンスを受け、早期の対応を受けられるようにしていきましょう。