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その病気、歯周病のせいかも?!

みなさんこんにちは。中里デンタルクリニック.です。3連休はゆっくり休んだり、美味しいものを食べたりできましたか?   今回は歯周病と全身の関わりについてお話ししたいと思います。   皆さんは毎日歯磨きをしますよね。歯磨きは歯周病の予防にとって大変重要ですが、歯磨きだけで大丈夫と過信してはいけません。というのも、1日数回きちんと歯磨きをしているかたでも、歯茎の溝や、歯と歯の間には、必ずいくらか磨き残しが出るからです。歯周病の研究が進むにつれて、歯周病が歯を失う怖い病気だというだけでなく、実は「全身の病気を悪化させる恐ろしい病気」であることもわかってきました。「お口の病気」と「からだの病気」は分けて考えがちです。しかしお口とからだは当然ながらつながっているので、お口の慢性炎症が、からだの健康を損なったとしても、なんの不思議もありません。このことを是非みなさんに知っていただきたいと思います。   糖尿病の患者様が歯周病になりやすいことは、以前から比較的知られていました。糖尿病の患者様は、糖尿病でないかたに比べると、歯周病にかかる確率が2倍以上になるといわれています。もうひとつ最近解明させてきて注目されているのが、「歯周病が糖尿病を悪化させる」ということです。糖尿病があると歯周病になりやすいだけでなく、その逆の、歯周病があると糖尿病になりやすいこともわかってきました。歯周病菌が白血球なども免疫細胞と戦うと炎症物質が出ますが、血液の中に流れ込んでいるこの炎症物質が、体内の血糖値を上昇させているのではないかと考えられています。糖尿病と歯周病はどうやらお互いに悪さをし合い、一方が発症するともう片方のリスクが増え、片方が悪くなるともう片方も悪化のリスクが増えるという悪循環を生みやすいようです。   また、近年やはり注目させているのが、歯周病と心疾患などとの関連性です。今まで知られてきたものには、細菌性の心内膜炎があります。血液の中に入り込んだ細菌が心臓に到達し、心臓の内側の膜や弁などに感染を起こすというものでたいへん危険な病気です。しかしそれとは別に、徐々に解明されつつあるのが、歯周病の出す毒素や歯周病菌自体が慢性的に血液の中に入り心臓に到達したときの影響です。心臓の血管なかで悪さをしているのではないか、というのです。歯茎から入った歯周病菌の毒素や歯周病菌は、血流に乗って心臓に届きます。その刺激で免疫細胞が活躍しはじめます。すると炎症物質のサイトカインが作られ、血管の壁を傷めるだけでなく、血管のなかに溜まる、血栓ができるというような、心臓の血管が狭くなるトラブルへの関与が疑われています。血管が挟まると、血流が滞るのはもちろん、血管が傷みやすくなります。また、傷ついた血管の壁にかさぶたのように血栓ができ、それが剥がれて血管が詰まると、心筋梗塞の原因になります。剥がれた血栓が流れて脳の血管に到達すれば、脳梗塞の原因にもなります。歯周病になると必ず血管が詰まるというわけではありませんが、いずれにせよ、血液に乗ってからだ中を回っているうちに悪さをしている可能性は大いにあると思います。   私たちのお口の中では、私たちが生き続けている限りプラークが作られ続けます、最初にお話ししたように、細菌によるリスク因子をゼロにすることは不可能です。そこで知っていただきたいのが、「歯周病と仲良く付き合う」という考え方です、特に、歯周病が進んでしまったかたは、いったん治っても油断大敵。炎症が再発しないよう、それ以上歯を支えている骨を失わないようプラークコントロールをして、歯周病菌が暴れださないように上手に抑えて付き合っていくことが大事です。みなさんには、毎日の歯磨きやフロス・歯間ブラシのセルフケアで、歯にプラークがくっついたままにならないよう、歯と歯茎の境目までしっかりとお掃除をお願いします。 そして、歯ブラシもフロスも届かない歯周ポケットのなかのお掃除は、私たちプロである歯科医師や歯科衛生士に任せてください。定期的に歯科医院でメインテナンスを受け、見えるところだけでなく、歯周ポケットのなかもきれいにしましょう。