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神経だけじゃない!痛みのセンサー

痛みは本来、「からだになにか異常事態が起きているよ」と教えてくれるありがたい警告です。痛みが起きることで、私たちは病気の存在に気づくことができます。そして、痛みを止めるため治療を早く受けなくては、と考えます。逆に痛みの出にくい病気の場合、かなり悪くなるまで気付かずに過ごしてしまうことも多いでしょう。 とはいえ、実際に痛みが起きれば、ありがたいどころか、私たちはたいへん苦しめられます。なかでも歯や、歯の周囲で起きる細菌感染による痛みはたいへんつらいもので、歯科医院には「一刻も早く痛みを止めて欲しい」という切実な悩みをかかえる患者さんがおいでになります。私たち歯科医師は、できるだけ早くその痛みを止めてさしあげたいと、毎日奮闘しています。 「歯の痛み」と聞いて、誰もがまず思い浮かべるのは、歯のなかの神経(歯髄)でしょう。痛みを伝える器官としてよく知られています。大きな虫歯の治療をするときに、「神経を抜いた」とか「神経を取った」などとよく言いますが、これは、細菌に感染して、もはや生き返ることのなくなった歯髄を取り除き、歯のなかをきれいに掃除して殺菌する治療のことです。 当然ながら、歯髄を取れば、歯のなかには痛みを感じる受容器がなくなります。そこで多くの方は「神経を取ったのだから、ピタリと痛みがなくなるはずだ」と考えがちです。また、治療が終わってすぐに違和感が消えないと、「治療が失敗したのでは?」と心配になってしまうかたもおられるかもしれません。 でもじつは、歯の内部だけではなく歯の周りにも、三叉神経につながった神経のネットワークが網の目のように広がっています。歯髄はそうした神経のネットワークのほんの一部にすぎません。歯髄を取り歯の内側の炎症を取り除く治療が成功していても、もしも歯の外側まで細菌感染が及んでいるのなら、その炎症がからだの免疫によって押さえ込まれるのでは、歯の外側にあるセンサーが警告を出し続けます。 歯科の病気の多くには、痛みはつきもの。しかし、その痛みの原因や症状はさまざまで奥が深く、なかには原因が取り除かれても続くような一筋縄ではいかないものもあります。 もっと大切なことは、痛みがひどくなるまで、歯のトラブルを放っておかないことです。治療が終わったら、今後はふだんから定期的に歯科医院のメンテナンスに通いましょう。当院では【痛くなってから受診するのではなく、痛くならないように、虫歯や歯周病を予防し、もし何かあっっても早期発見していこう】と呼びかけています。辛い痛みと今後さよならするために、定期的なメンテナンスに通って、歯の健康を守っていきましょう。