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隣接面のケアはなぜ重要?

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。   今日は歯と歯の間の隣接面とフロスのことについてお話していきます。   歯には、外から見える表側、舌が触っている裏側、そして上下の歯が噛み合うデコボコした噛み合わせ面の他に、隣の歯と接している面があります。この隣り合っている面のことを、私たちは「隣接面」と呼んでいます。簡単に言うと、歯と歯の間になって隠れている面のことです。とくに、奥歯の隣接面の面積は広く、両隣に歯がある奥歯の場合、5面ある歯面のうち2面が隣接面です。でも、隠れていて見えず、触れられない場所なので、その存在は忘れられがちです。   歯の表側や裏側は、活発に動く唇、頬の粘膜や舌と擦れることでおのずとある程度プラークが取り除かれます。また、唾液が豊富に流れることで、食べかすが洗い流されます。 一方隣接面は、通常くちびるや舌と接することがなく、狭い歯間には唾液も流れ込みにくいため、自浄作用はほとんど期待できません。また、歯ブラシの毛先が隣接面に隈なく届くとよいのですが、この狭さではなかなかむずかしいのが現実です。そのため隣接部は、汚れが溜まりやすくしかもたいへんお掃除しにくい、むし歯や歯周病の危険地帯です。おまけに、トータルするとけっこうな面積を占めるのです。   以上のことからも隣接面のケアが重要だと言うことがお分かりになるかと思います。 では、隣接面をどのようにケアしたらよいのか?そのことについてもお話ししていきます。   洋画や海外のテレビドラマを見ていると、日常シーンにフロスが登場することがよくあります。出かける前にフロスをする主人公。生活の中にフロスが定着している様子がうかがえます。   ひるがえって日本を見てみると、生活の中にフロスが定着しているとはまだまだ言えないでしょう。小林製薬が「糸ようじ」という絶妙のネーミングで売り出し、テレビコマーシャルでも大々的に宣伝されて以来、その存在は日本でも一般に知られるようになりました。ただ、多くの人がお使いかどうか。残念ですが、まだそこまでの存在にはなっていないのではないかと思います。   笑ったときに見える歯の表側、そして舌で触れることのできる裏側、口を開けると見える歯の噛み合わせ面。これらについては、みなさん子供の頃から習慣的に毎日歯ブラシでお掃除をしておられるでしょう。前歯がヤニで茶色くなっていないか鏡を覗いて確かめたり、ときどきは虫歯ができていないかと、噛み合わせ面のデコボコに目を凝らすこともあるでしょう。   でも、口を開けても見えず、触れることもできない歯の隣接面はどうでしょう?「ふだんその存在を忘れている」という方も少なくないのではないでしょうか。   ところがこの「隣接面」、私たち歯科の専門家から言わせていただくと、歯の健康を維持するためとくにケアしていただきたい「トラブル多発地帯」なのです。というのも、少し前にもご説明したとおり隣接部の汚れは、くちびるや頬の粘膜と擦れて落ちるようなことがまずありません。狭い歯間には唾液がたっぷりとは流れません。こうして自浄作用が弱いため、プラークや食べかすなどの汚れは、溜まったままになりがちです。   そのうえ、見えない場所ですので、溜まった汚れに私たちが目で見て気づくということはまずありません。そして歯ブラシの汚れが届きにくいだけに、溜まった汚れがそのまま残りやすいのです。早いうちに取り除けば比較的容易に取り除くことができる汚れも、溜まったまま時間が経つうちにしつこいバイオフィルムとなり、細菌たちの居心地のよい棲み家となって、むし歯や歯周病のトラブルの温床になってしまいます。   しかもこの隣接面の面積、トータルすると、みなさんが意識している以上に、歯面全体のなかでも広い範囲を占めているのです。   とはいえ、「フロスを使いましょう」とただお伝えするだけでは、「使いこなすのが難しい」「面倒だ」とお困りの方も多いかもしれませんね。   そこで歯科医院でのブラッシング指導で、隣接面のお掃除の大切さをお伝えするとともに、よく工夫されていて使いやすい歯科専売のフロスをご紹介し、フロスに慣れていないかたでもラクにケアできる方法もお伝えしたいと思っています。   セルフケアにフロスを取り入れると、ケアのクオリティが格段に向上します。無理なく続けれられるようなご提案をさせていただきますので、ぜひ役立ててみてください。