妊娠と虫歯の深い関係

みなさん、こんにちは。中里デンタルクリニックです。

 

今日は、妊娠と虫歯の深い関係についてお話ししていきます。

 

「妊娠後に歯が悪くなった」という話を出産経験のある女性から聞いたことはありませんか?実は妊婦さんのお口が虫歯になりやすいというのは本当のことです。

 

ただしその原因は、よく言われる「カルシウムを赤ちゃんに取られてしまうから」ではありません。赤ちゃんを育てるために妊婦さんのからだに起きる変化が大きく関わっています。

 

お口のトラブルを起こしやすくなる変化として、よく指摘されるのが「つわり」です。歯ブラシや歯磨き剤を口に入れるだけで吐き気がしてしまう方もおられ、ていねいな歯磨きが難しくなるからです。

 

味の好みも変わります。甘いもの、酸っぱいものが好きになり、虫歯菌の大好物の砂糖や、歯のカルシウムを溶かす酸性度の強い食べ物(柑橘類など)をとる機会が増えるのです。しかもお腹が大きくなると胃が押され、少しずつしか食べられません。

間食が必須なので、虫歯菌はそのたびエサをもらえて大喜びです。

 

また、妊娠中はホルモンの影響で唾液が減ります。すると、お口の中を洗い流す自浄作用も、歯を修復する再石灰化作用も弱まるのです。

 

普段よりも虫歯になりやすくなる妊婦さんのお口。でもこれは、赤ちゃんのため、自然に起きる変化ですから、虫歯になりやすいからといって止められるものではありません。だからこそ、こういう時は歯科検診を受け、プロのサポートを得て大切な歯を守っていきましょう。

 

それから、歯周病についてもお話ししていきます。

 

なぜ、妊婦さんは歯周病になりやすいのか?その疑問についてもお話ししていきます。

 

子宮やおっぱいを大きくし、胎児が元気に育つように体を変化させる女性ホルモン。歯周病菌の仲間にはこのホルモンを栄養源とするものがいて、女性ホルモンが豊富な妊婦さんの歯ぐきが大好きです。さかんに増殖し活発に活動します。

 

そのため妊娠中は、ふだん歯ぐきが腫れない人も歯周病の初期症状「歯肉炎」になりやすく、歯周病(歯周炎)の方は病状が進行しやすいのです。歯周病の炎症は低体重児出産(早産)と関連するといわれ、赤ちゃんの成長に影響を与えかねません。早期に歯科検診を受けて、歯周病を治療&予防しましょう!

 

歯肉炎になってしまったら、プラーク(歯垢)と歯石をきれいに取れば、1〜2週間で腫れが引き、すっかり元通りに治ります。またセルフケアの指導を受けることも大事です。

出産した後は子育てで忙しく、自分の通院は後回しになり、症状を悪化させてしまいがちです。妊娠したらぜひ歯科検診を受け、悪いところは妊娠中に治してしまいましょう!

もちろん、妊娠する前にきちんと治しておくことはもっと大事ですね!

シーラントと賢く付き合うポイントについて

みなさん、こんにちは。中里デンタルクリニック.です。

 

今日は前回に続いて、シーラントと賢く付き合うポイントについてお話ししていきます。

 

奥歯の溝にシーラントを入れてもらったら、「あとは放ったらかしで大丈夫」とはいきません。

シーラントを入れてもらったら次の3つに気をつけていく必要があります。

 

1、「入れて終わり」ではありません。

 

歯の詰め物を入れた時と同じように、その後の経過を診てもらう必要があります。

シーラントは、噛んでいるうちに一部が剥がれ落ちて、歯の表面との境目にごく微細な段差ができることがあります。この微細な段差は最近のすみかとなり、そのままだとプラークがたまってそこから虫歯になってしまうこともあります。ですから、シーラントを入れたあとは、その後の状態を歯科医院で定期的にチェックしてもらいましょう。剥がれ落ちた部分は、削って段差を無くしたり、シーラントを補充したりします。

定期受診の際に、シーラントを入れた部分も見てもらうのが一番いいと思います。

 

 

2、第二大臼歯にもシーラントを!

 

6歳ごろに第一大臼歯にシーラントを入れてもらってひと安心。しかしそのあとに忘れられがちなのが、第二大臼歯の存在です。

第二大臼歯は、個人差がありますが小学校6年生〜中学校1、2年生の頃に生えてきます。この第二大臼歯にも深い溝があることが多く、シーラントが必要なことがあるのです。

ところが、中学生になると歯科受診が極端に減ります。中学校に入ると部活や塾で忙しくなるからです。この時期を「魔の中学二年生」と呼んでいます。それまで虫歯がなかった子が、中学三年生の夏休みで部活を引退して来院したときに、「あらら、虫歯が!」となってしまうのです。

ぜひこの時期も定期的に受診して、必要なら第二大臼歯にもシーラントを入れてもらってくださいね。

 

 

3、シーラントに過信は禁物!

 

シーラントで奥歯の溝を詰めたから「虫歯予防はもう大丈夫」と思ってしまうのもよくある勘違いです。虫歯は噛み合わせ面にだけできるものではありません。歯と歯のあいだ(隣接面)にできる虫歯も非常に多いです。

シーラントはあくまで「奥歯の溝」に対する予防処置で、歯と歯のあいだには効果がありません。ですから、定期的に歯科を受診してもらって、専門家の目やレントゲン(エックス線撮影)チェックしてもらう必要があります。

シーラントは「予防の万能選手」ではないのです。

歯と歯のあいだの清掃には、デンタルフロスを使うとよろしいでしょう。

 

ここでフッ素とシーラントの最強コンビについてお話ししていきたいと思います。

シーラントは奥歯の溝を塞いで物理的に虫歯を予防するものの、それ以外の部分には効果がありません。一方、歯みがき剤などに含まれるフッ素(フッ化物)は歯の表面全体に効果を及ぼすものの、奥歯の溝の中には届きません。

 

フッ素とシーラント、この2つを併用すると、カバーできない部分を互いに補い合って、予防効果が高まります。

 

18年連続で日本一子ども(12歳児)の虫歯が少ない県(学校保健統計調査より)である新潟県でも、「フッ素洗口とシーラント」を予防の柱としています。フッ素とシーラントの組み合わせは、子供の虫歯予防のベストパートナーと言えるでしょう。

 

シーラントとの付き合い方

みなさん、こんにちは。中里デンタルクリニック.です。

 

今日はシーラントについてお話ししていきます。

みなさん、シーラントってご存知ですか?歯ブラシが届かない奥歯の溝を樹脂などで塞いで虫歯になりにくくする処置です。

お子さんの虫歯予防のために昔からよく使われている処置ですが、「入れてもらいさえすれば、放ったらかしで大丈夫」ではないのです。いまシーラントを入れているお子さんや、これから入れてもらうつもりのお子さん、そして保護者のかたに、シーラントを入れてもらったあとに気をつけてほしいことをご紹介していきます。

 

なぜ奥歯の溝は虫歯になりやすいのでしょうか?

奥歯の溝をよく見てみると、とても複雑な形をしていて食べカスやプラーク(細菌のかたまり)がたまりやすい場所です。人によっては溝がとても深く、どうやっても溝の奥に歯ブラシの毛先が届かないことがあります。

 

入り込んだ食べカスやプラークは、そのままだと虫歯菌の温床になります。そしてさらに悪いことに、お子さんの場合、生えはじめたばかりの歯は歯の質が弱く、虫歯菌の出す酸にとても溶けやすいのです。このため、深い溝がある生えはじめの奥歯は、虫歯になるリスクが非常に高いといえます。

 

そこで、「奥歯の溝をあらかじめ合成樹脂などで埋めて、歯ブラシの毛先が届かない場所に、食べカスや細菌が入り込まないようにしよう」というのがシーラントです。

 

虫歯になったところを削って詰めるレジンなどの詰め物と違い、虫歯になる前から、なりそうなところに詰めます。歯を削らないでできる処置です。

「コクラン・レビュー」という世界的な学術機関の研究発表でも、シーラントの予防効果は認められています。今の子供達に虫歯が減っているのも、ひとつにはこのシーラントのおかげだと思われます。

また、シーラントの材料には、歯の修復を促したり、歯の質を強くするフッ素(フッ化物)が含まれているものもあります。そうしたタイプのシーラントでは、シーラントが唾液に触れると徐々にフッ素が唾液中に放出(リリース)されるほか、歯科医院でフッ素塗布を受けたときに、フッ素がシーラントに再補填(リチャージ)されるものもあります。

 

ここまでシーラントという処置についてや特性についてお話ししてきましたが、シーラントが奥歯の虫歯予防に有効とはいえ、歯科では奥歯に溝があればとにかくシーラントを入れるわけではありません。

 

奥歯の溝の深さだけでなく、他に虫歯があるか、歯みがきはきちんとできているか、食生活はどうかなど、お子さんの虫歯になりやすさを総合的に考えて、シーラントを入れた方がいいかを判断します。

極端に言えば、たとえ溝が深くても歯みがきがしっかりできていてプラークが溝に残らないようなら、シーラントは必要ありません。

 

ちなみに、奥歯の溝が浅くシーラントが必要ないお子さんに、「予防のため安心だから」とあえて入れるのはおすすめできません。というのも、溝が浅いと、詰めたとしても外れやすいのです。詰めたシーラントの一部が剥がれて段差になると、そこにプラークがたまり、逆に虫歯になりやすくなってしまいます。

 

ですから、シーラントを入れるときには歯科医院で歯をよく見てもらい、入れても大丈夫かどうかを判断してもらってから行うと良いでしょう。

 

次回は、シーラントと賢く付き合うポイントや、よくある疑問にもお答えしていきます!

歯科の麻酔について

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日は歯科の麻酔についてお話ししていきます。

皆さんは歯科の麻酔を受けた時に、急に動悸がしたことはありませんか?

むし歯の治療や歯周病の外科治療、歯を抜く時、インプラント手術の時などに用いられる麻酔注射(局所麻酔)。歯の神経に麻酔薬を作用させて、処置の痛みを感じさせないようにするもので、スムーズで安全な歯科治療のために欠かせないものとなっています。

 

お口のなかは感覚が鋭く、痛みや違和感に敏感です。そのため、歯科では麻酔注射には特に注意を払い、そうした不快感をできるだけ軽減させる手法を用意しています。

 

たとえば最近では、注射の痛みを感じさせないように、細い注射針を使ったり、注射の前にお口の粘膜に麻酔薬を塗るようにしたり、麻酔薬が注入される圧力による違和感を軽減するため、麻酔薬をゆっくり少しずつ一定の速さで注入する電動注射器を用いたりもしています。

 

さて、そうした痛みや違和感のほかに、患者さんからよく聞かれる不安に「麻酔注射を受けたときの動悸(ドキドキ感)」があります。

「治療の前に麻酔注射を打ってもらったところ、なんだか急に心臓がドキドキした」というのは、治療がぶじに終わっても、あとあとまで気がかりなことだと思います。

 

麻酔注射でドキドキする原因として考えられるのは、まず精神的なストレスです。麻酔注射にかかわらず、注射はやっぱり怖いですよね。歯科治療に苦手意識や不安感、恐怖心がある場合はなおさらでしょう。

 

また、もうひとつ原因として考えられるのが、麻酔薬に含まれる成分です。歯科でもっとも多く(約90%)使われている局所麻酔薬のリドカイン製剤には、血管収縮薬としてアドレナリンが含まれています。治療する部位に麻酔成分(リドカイン)が長くとどまるようにするために、その部位の血管を収縮させるのがアドレナリンの主な役割です。

 

しかし、このアドレナリンは、血圧を上昇させたり、脈を速くする働きもあるので、注射直後から10〜20分くらい心臓がドキドキすることがあります。

なお、アドレナリンを含んだ麻酔薬は、その血管収縮作用により、高血圧や糖尿病のかたには、動悸や息切れ、血圧の上昇などを引き起こすおそれがあります。そうしたかたには、アドレナリンが入っていない麻酔薬をご用意したり、「持病のあるかたでもこれだけの量なら使っても大丈夫」というガイドラインに沿って麻酔薬を使用しますので、持病をお持ちの場合は前もってお教えいただければと思います。

 

また、歯科治療に特に強いストレスを感じるかたには、「吸入鎮静法」という、低濃度笑気ガスと高濃度酸素を鼻から吸入する麻酔法があります。リラックス作用のあるガスにより、不安や緊張を和らげます。多くの歯科医院で導入されていますので、予約を取る際に「笑気で治療を受けたいと相談されるとよろしいと思います。

 

禁煙にトライしませんか?

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニックです。

 

今日は禁煙についてお話ししていきたいと思います。

昨今、禁煙が叫ばれるようになってきて健康のためはもちろんのこと、上がり続けるタバコ税に対して禁煙を始められた方もおられると思います。

歯科でも歯周病を予防したり治療するために禁煙指導を行っています。からだのためはもちろんですが、歯にも悪いのです。なぜかというとタバコは歯周病を重症化させやすいからです。さらに悪いことに、喫煙者の歯ぐきは腫れにくく、歯周病が悪化していても見逃しやすいばかりか、気づいて治療をはじめても、治りにくいという現実があります。歯を大事にしてずっと残したいのであれば、ぜひ禁煙をおすすめします。

 

タバコの口への害は、多くの歯科医師がずっと感じてきたことでした。いうまでもなくタバコは「口」で吸います。タバコの有害物質が直接当たる口は、タバコの害をダイレクトに受けやすいのです。特に目立つのが、前歯の裏の歯ぐきや上あご(口蓋)へのダメージです。

 

全身的な影響も深刻です。口や肺から吸収された有害物質が血流に乗って全身に運ばれると、細菌と戦いからだを守る免疫細胞の元気がなくなりますし、血流も悪くなります。

 

つまりタバコを吸うと、口は直接・間接のダブルパンチで有害物質の影響を受けるのです。また、禁煙後も他の臓器と比べて、その影響を長く引きずりやすいこともわかっています。将来、歯を失わないためにも、ぜひ若い頃から禁煙することをおすすめします。

 

ここで、おタバコを吸わない方と、吸われる方の歯ぐきの違いについてご説明致します。

タバコを吸わない歯周病の人のお口は、歯にプラークがくっつきにくく歯ブラシで除去しやすく、免疫細胞が元気で細菌とさかんに戦います。炎症が起こると歯ぐきが腫れるので、歯周病の進行を見逃しにくい。治療後の治りも早いです。

 

では、おタバコを吸う歯周病の人のお口はというと、ヤニのベトベトにプラーク(細菌の塊)がくっつき、それが歯石になります。タバコを吸うと歯石が増えるので歯周病のリスクが増えます。免疫細胞に元気がなく細菌と戦わないため重症化しやすいですし、歯ぐきが硬くなり炎症で腫れにくく見逃しやすく治療後の治りも遅いです。腫れや出血が少ないのは、タバコに含まれる有害物質のために歯ぐきが硬くなるからです。血管が収縮して血流も悪くなるので赤くなりにくく、そのため重症化を見逃しやすいというわけです。

歯周病と糖尿病の関係について

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日は歯周病と糖尿病の関係についてお話ししていきます。

 

近頃、歯周病と全身の疾患についての関係が取り上げられてきています。歯周病と心臓病や歯周病(お口の清掃不良)と誤嚥性肺炎などです。そして最近特に注目されているのが、歯周病と糖尿病の関係についてです。お口の健康と体の健康は実は切っても切れない関係にあります。一見似ても似つかぬ歯周病と糖尿病は、実はとっても気が合うお友達で、「炎症兄弟」と言われています。しかもこの2人は火遊びが大好きなのです。

 

歯周病はお口のなかだけの病気というのは、実は大きな誤解です。歯周病は「炎症」を通して、からだ全体に悪影響を与えます。

炎症とは、からだの中で起きる”火事”のことです。からだの”火事”には、インフルエンザや肺炎など高熱が出る大きな火事と、歯周病のように歯のまわりで”ぼや”がくすぶる小さな火事の2種類があります。

 

疲れたとき、歯ぐきが腫れて歯が浮くような感じがしたことはないでしょうか?あれがまさに炎症です。お口の清掃が不十分だと、歯と歯ぐきの間にバイ菌の塊(プラーク)がこびりつきます。すると、このバイ菌と免疫軍団との間で戦争が起こり、結果として歯ぐきが腫れて出血します。

 

ミクロなレベルで見れば激しい戦闘なのですが、からだ全体から見れば小さなボヤに過ぎません。歯周病がひどくても熱が出ない理由です。

 

でも、このボヤで出てくる”煙”が大のくせものです。歯周病による炎症は、周囲に「サイトカイン」という煙=悪玉ホルモンをたっぷり吐き出します。これは血糖値を下げるただひとつのホルモンであるインスリンの邪魔をして、血糖値をあげてしまうのです。

 

実は糖尿病患者さんのお腹のなかでも、あぶらを貯めすぎた悪玉脂肪細胞を、免疫軍団が悪玉と勘違いして攻撃することで、炎症が起きて血糖値が上がります。それと同じことが歯周病でも起こるわけです。

 

歯周病と糖尿病は、炎症という契りを交わした”義兄弟”なのです。

 

では、歯周病の方で糖尿病も患っている場合、もうどうしようもないのか?というとそうでもありません。実は糖尿病の方で歯周病も患っている場合、歯周病の治療をしたことで血糖値の数値が大幅に改善されたという研究報告もあります。これは上記の炎症理由を読んでいらっしゃれば、なぜそのようなことが起こるのかについてお分かりになられるかと思います。ですから、糖尿病を患われている方は積極的に歯科を受診してお口の中の検査を受け、歯周病であれば是非とも歯みがき指導を受けることと、歯周病の治療を受けて、歯周病と糖尿病の安定をはかっていかれると良いと思います。

酸蝕症について

こんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

だんだんと朝晩の冷え込みも始まり、紅葉も色づいてきましたね。新米も出始めて食欲の秋です。

 

そんな収穫の秋ではありますが、今日は「酸蝕症」についてお話していきます。

皆さんは「酸蝕症」という歯の病気をご存知でしょうか?酸蝕症とは、酸性度の強い食べ物や飲み物、また逆流胃酸に日常的にさらされることにより、歯が病的に溶けて、傷んでしまう症状をいいます。酸っぱいものを欠かさず食べる健康志向の食生活や、ストレス社会のなか増え続けている逆流性食道炎など私たちの食生活や多忙な毎日との関わりがあるので現代人ならではの生活習慣病として注目されています。

 

「酸蝕症?自分は関係ないだろう」と思っていたら大変です。国内の実態調査では、全世代を通じて4人に1人の罹患率となっています。ですから、むし歯や歯周病に続く第3の疾患として注目されています。

 

歯はもともと、酸がとても苦手です。酸に触れると化学反応を起こして溶けてしまうからです。とはいえ、食べ物のほとんどは酸性。味噌も醤油も穏やかな酸性です。なのに歯が溶けてなくなってしまわないのは、唾液が酸を洗い流し中和して、歯を守ってくれているからです。ただし、唾液の能力にも限界があります。強い酸が口のなかに繰り返し入ってくると、唾液の作用が追いつかず、歯が溶けてしまうのです。

 

むし歯も、虫歯菌の出す酸によって歯が溶けて穴があく病気ですが、酸蝕症との決定的な違いは「被害の範囲」です。むし歯は、みがき残したプラーク(細菌のかたまり)のなかに棲むむし歯菌が、砂糖を食べ酸を出すことによって起きます。そのため、起きる場所は限局的です。一方、酸蝕症は、酸が触れた歯面すべてで起きます。つまり被害が広範囲になりやすいのです。

 

また、硬いエナメル質が溶けて薄くなったところにむし歯ができると進行が加速し、酸で軟らかくなった歯は磨耗・咬耗も病的に進行しやすく、トラブルが複合的に拡大しやすくなるのも酸蝕症の特徴です。

 

酸蝕症は、現代の食生活や生活習慣と関わりの深い病気です。酸蝕症になりやすい要因をこの機会に知って、歯を溶かす習慣を止め、大切な歯を守っていきましょう。

 

そして最近では、胃酸による酸蝕症も増えてきています。現在では酸蝕症の原因として注目されているのが、「胃酸の口への逆流」です。専門家の医師によると、現代人の約10人に1人に逆流性食道炎の疑いがあり、罹患率は増加中なのだそうです。

 

胃酸の逆流を誘発する代表的な因子は、炭酸飲料やすっぱいものの食べ過ぎ飲み過ぎ。炭酸飲料やすっぱいものといえば、グミや干し梅などといったすっぱいお菓子に熱中症対策のスポーツ飲料、健康志向による柑橘類や飲酢、ワインや酎ハイなどの酸味のあるお酒に、レモン・酢・トマトなどを使って酸味のある食事メニューなどです。

 

逆流性食道炎を防ぐための消化器内科の食事指導と、酸蝕症を防ぐための歯科の食事指導に共通項があり、ひとつの指導内容が両科の治療に役立つのですから、これは患者さんにとって大きな朗報です。

 

このほか、摂食障害(拒食症や過食症など)による、持続性の嘔吐と酸蝕症の深いかかわりも報告されています。この場合は、心療内科に相談し、歯科でも歯が溶けていないか診てもらうと良いでしょう。

 

ホントに怖い!根面むし歯について

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日は「本当は怖い根面むし歯」についてお話していきます。

 

まず、根面むし歯とは歯肉(歯ぐき)が下がって露出した歯の根の表面にできるむし歯のことです。高齢者のかたを中心に、今、大人の方に増えています。

 

歯は大別して、ものを噛む部分である「歯冠部」と歯を支える「歯根部」から成ります。歯冠部は歯肉(歯ぐき)より上の部分、歯根部は歯肉に埋まっている部分というのが、臨床的な分類です。

 

加齢や歯周病により歯肉が下がると歯の根が見えてくるわけですが、この歯肉から覗く歯根部の面を、「根面」と呼びます。そして、この露出した根面がむし歯になることを「根面う蝕」といいます。

 

根面がむし歯になるというのはどういうことなのでしょうか?

家で例えるなら、建物自体は新築同様に維持できているのに、土台の柱がシロアリに食べられてしまっているようなものです。柱が崩れれば、建物はきれいなまま、ポキリと倒れてしまいます。

年齢とともに歯肉が下がることが多いため、根面う蝕は「高齢のかたの疾患」というイメージがありますが、実はそうとは限りません。歯周病などで歯肉が下がれば、当然、若い人にも起こりえます。

 

ではなぜ、根面はむし歯になりやすいのでしょうか?

 

根面がむし歯になりやすい理由は2つあります。

 

①根面の象牙質を覆うセメントがごく薄いこと。

歯冠部の場合、厚みがあり硬いエナメル質が鎧のように象牙質を覆って いますが、根面では、ごく薄いセメント質がコーティングしているだけです(場所によっては、もともとセメント質がなく象牙質がむき出しのこともあります。)

その厚さは薬用オブラートと同程度の20ミクロンほど。そのためセメント質は細菌の出す酸によりたやすく溶かされてしまい、すぐに内部の象牙質が露出してしまいます。

 

②象牙質はエナメル質よりも酸に弱く、成分が溶け出すpHが高い。

私達のお口のなかは、飲食ごとに、お口の細菌の酸によりpHが下がります。一定のpHを下回ると、歯の成分が唾液中に溶け出す(脱灰)のですが、この現象が起こるpHがエナメル質と象牙質では違います。溶け出すスタートラインは、エナメル質が5・5で、象牙質は6・4。つまり、いままでエナメル質では溶けはじめなかったpHでも、象牙質は溶けはじめてしまうのです。

 

このように、根面はすぐに象牙質がむき出しになり、しかも象牙質は歯の成分が溶け出しやすい性質があります。歯冠部はむし歯ひとつないのに、気づかないうちに根面のほうがむし歯になっているというケースが起こりうるのは、このためです。

いまどき話題の歯みがき剤は?

皆さんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

 

今日はいまどきの歯みがき剤についてお話ししていきます。

 

歯みがき剤にフッ素が入っているのはもはや当たり前の時代になりました。フッ素+殺菌剤配合の製品もだいぶ普及している現在はさらなる高機能歯みがき剤の開発が進んで最近では、再石灰化成分まで加わった製品など画期的な歯科専売品も誕生しています。ご紹介していきます。

 

いまや歯みがき剤にフッ素は当たり前とはいえフッ素は、ただ配合されていればよいというものではありません。歯にしっかり機能してむし歯予防に役立ってくれなければ困るわけで、口の中に残った少ないフッ素をいかにより効果的に働かせるかは、歯みがき剤の開発者にとって、永遠のテーマであり続けています。

 

フッ素は、カルシウムとたいへんくっ付きやすい性質を持っています。例えば、歯みがき剤のフッ素が、歯に作用する前に、唾液のなかのカルシウム(唾液のなかには歯の再石灰化に使われるカルシウムがたっぷり溶け込んでいます)とくっ付いてしまったらどうでしょう。肝心の歯に作用しなくなってしまうので、これでは困りますよね。

 

このように、フッ素の配合ひとつとっても重要な研究テーマですが、これに殺菌剤を加え、さらに他の有効成分も加えて、それらの成分が相殺し合わずにしっかり働く歯みがき剤を作るには、実はたいへんな努力と工夫が重ねられています。

 

さて、そうした開発者の苦労が実って製品化にこぎ着けた、最近話題の高機能歯みがき剤をご紹介いたします。

 

それは、フッ素+殺菌剤に加えて、再石灰化成分(リン酸とカルシウム)が配合された歯みがき剤です。歯の再石灰化、つまり補修に使われる成分が口のなかにタップリと供給されれば、初期むし歯の治療や予防にとてもよさそうです。

ただ気になるのが、先ほど言ったように、フッ素と再石灰化成分をいっしょにして、それでもこれらの成分は働くのだろうか、ってことです。そこである研究所が牛の歯を使って実験してみたところ、それぞれがちゃんと機能して効果を上げることがわかりました。

 

もう一つは、中高年のかたに多い「根面う蝕」の予防をターゲットにした製品です。歯ぐきが下がって剥き出しになった象牙質は、むし歯になりやすく、進行もしやすい要注意箇所で、中高年層のむし歯予防のなかでも重要なテーマになっています。

この製品はフッ素のほかにコラーゲンの保持を目的とした有効成分PCAが入っています。フッ素はエナメル質はもちろん、象牙質にも効きますが、象牙質にはコラーゲンも含まれるため、このコラーゲンの抵抗性もあげて象牙質を守ろうというわけです。

 

コラーゲンは、むし歯菌の出す酸や酵素に弱く、これが失われると象牙質がもろくなってしまいます。そこで、歯の結晶ばかりを守ろうとしていたこれまでの研究から、コラーゲンもいっしょに守って壊れにくくしようという発想の転換が面白いですよね。新機軸の歯みがき剤、中高年のかたにおすすめです。

 

ご自身のお口に合わせた歯みがき剤を知りたい方は、ぜひ歯科衛生士までご相談くださいませ!

 

 

虫歯は止められる?!

みなさんこんにちは、中里デンタルクリニック.です。

今日は、虫歯についてお話ししていきます。

 

虫歯は一度始まってしまったら「削って治すしかない」と思っておられるかたには、虫歯を「生活習慣の改善で止めよう」とお話しすると、驚くかたもおられると思います。

昔から歯の治療といえば、「歯を削って詰める」といった、外科のイメージが強いですから。

 

虫歯は本来、ある日いきなりポコッと穴が開く、という急性の病気ではありません。歯みがきが雑だとか、おやつをしょっちゅう食べるといった生活習慣が原因でジワジワとはじまり進行していきます。

最初は表面が酸で溶けて透明感がなくなる程度で、歯をよく乾かさないと見えにくく、歯科医院の定期検診でシューッとエアーをかけてもらったときに「初期むし歯ですね」と見つかることが多いです。

 

むし歯の進行を止める治療は、定期検診で引っかかってはじめてわかる糖尿病など、内科の生活習慣病とよく似ています。検査で「血糖値が高めだ」とわかると、はじめるのが食事や運動など生活習慣の改善ですよね。インシュリンだ、透析だといった治療は、病状が進行してはじめて必要になります。そうならないように、内科で指導を受けて生活改善で血糖値を下げ、進行を止めることがもっとも重要なわけです。

 

虫歯も糖尿病と同じです。削って詰めなければならない場合、それはもうかなり進行した状態。定期検診で「初期むし歯があります」と早期発見できれば、歯科の指導で歯みがきや食事など、生活習慣の改善と上手なフッ素利用を続けることで、虫歯は止まるし、ごく初期であれば元どおりに治せます。

 

フッ素配合歯みがき剤の普及でむし歯が減った現在は、外科手術(削る治療)が必要になる前の段階で虫歯を見つけ、削る歯を減らして患者さんの歯を守る、というのが歯科の重要な仕事になっています。歯科医院が定期検診をおすすめするわけは、病気を早期発見できるからです。初期むし歯の段階で見つけることができれば、歯科指導を受け、生活習慣を改善してむし歯の進行を止めることができますし元通りに治せる可能性も十分にあります。削らずにすむ段階でむし歯を見つけるため定期的に歯科で診てもらうと良いと思います。

 

生活習慣の改善によるむし歯の進行コントロールで、もっとも患者さんにメリットが大きいのは、なんといっても初期むし歯(Co)の段階です。

C1まで進むと、この段階ではすでに歯の外形が少し崩れていますし、リスク管理で進行を止められるとはいえ、崩れてしまった部分が戻ってくるわけではありません。しかし、初期むし歯の段階で見つけられれば、元どおりのきれいな歯に戻せる可能性があります。

 

具体的な方法としては、数ヶ月に一度歯科医院でメインテナンスを受けていただくこと、一日に一度はていねいな歯みがきをすること(とくに就寝前)、プラークの残りやすいところをおぼえ、ポイントを押さえた歯みがきをすること、必ずフッ素の入った歯みがき剤を使うこと。うがいは少なめにして最後にフッ素洗口をすること。そしておやつやスポーツ飲料は、時間を決めてとる(頻回にとらない)ことです。

 

もちろん人によってどの部分が重要かは違ってきます。

ぜひ定期検診で歯科衛生士からご自分に合ったセルフケアの方法を聞いて、むし歯予防を高めていきましょう!